むしろ大人になってからのほうが本を読むようになった。
今は小川洋子の「心と響き合う読書案内」を読んでる。
芥川賞作家である著者がお気に入りの本を紹介するFM番組の書籍版らしい。
実は私は書評の類が好き。
書評に限らず評論モノは全般的に好き。
他の人がどんな価値観で生きているかが分かって大いに刺激的だからね。
ちなみに、茨木のり子「詩のこころを読む」は私の愛読書のひとつ。
国内外の優れた詩を、茨木のり子が小気味よい語り口で紹介してます。
さて、
「心と響き合う読書案内」のまえがきで、著者は「再読の喜び」について触れていて、
要するに、
「以前読んだ本を再び読み直すと、以前は見えなかった新たな魅力に気づく」
ということを言ってます。
そういうことって確かによくあって、
例えば、最近サン・テグジュペリの「星の王子さま」を読み直したんだけど、
以前は感性で読み取ってた部分がはっきり読み取れた。
これってものすごいカタルシス。
「星の王子さま」は「心と響き合う読書案内」でも取り上げられていて、
テーマの根本に「常識にとらわれると、もっと大事なことを見過ごす」という示唆があり、
「飛行機の操縦士だったサン・テグジュペリならではの、俯瞰的な視点で書かれた小説」
という著者の見解が載ってました。
なるほどね。
そういえば少し前に干刈あがたの「黄色い髪」を読み直したらすごく面白くて、
その他の干刈作品を読み漁った時期があったなあ。
芸術の楽しみ方を知っている人が、己の人生を豊かにできる人でしょう。